メシの種なり
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012-英語を公用語にしようなんてとんでもないことだ

■日本のように、日本語という言語一つだけで、すべてのことが運営される国はどちらかというと少数派かも知れない。日本のように、日本語だけで、政治・経済・教育・学問などが行われている国は意外と少ないのである。アメリカでも、最近はヒスパニック系の人口が増えてきて、スペイン語の存在が大きく浮かび上がってきている。とは言ってもスペイン語が、アメリカで、第二公用語になったわけではない。

■昔、ハワイ大学に留学中、インド人の学生に「日本の大学では何語を使って授業が行われているのか」という質問を受けて「そんなこと日本語に決まっているだろう」と答えると相手はびっくりして、「えっ、日本では自国語で大学教育をしているのか。そんなこと信じられない」という答えが返ってきて、今度は、こっちの方が驚いた経験がある。かなりの日本人が、私と同じような経験をしたらしく、色々な人が同じような体験を誌上で語っている。

■インドでは沢山の異言語が使われており、そのうちヒンズー語が主要言語なので、これが国語ということになっているようだが、共通語として、かつての宗主国のことば「英語」も公用語として使われ、大学は主に英語で教育を行っている。ひとつには、近代科学を自国語で教えるには、語集不足なので、西洋のことば、インドの場合は「英語」で教えざるをえないというのが定情なのである。その点、日本語は、明治維新後、先達たちの大変な努力により、西洋の概念はすべて日本語に翻訳され、大学という高等教育を行うところでも、西洋のことばで教育しなくて済んだのである。

■西洋諸国の植民地になった国々では、現在でも、元宗主国のことば(主に英語・スペイン語・フランス語・ポルトガル語・ロシア語など)を公用としたり、それで高等教育を行っている国もまだ多くある。欧米の元植民地となっていた国々は、あれだけ搾取され、略奪されたにもかかわらず、元宗主国のことばを、今だに使っている。多くの人にとって、これはなかなか理解できないことかも知れない。

■あれだけ厳しく日本語を排撃した韓国でさえも、最近では、日本語が生き返ってきはじめたくらいだから、ことばというものは、一種独特な性格を持っているのかも知れない。

■フィンランドでも、ベルギーでも、スイスでも、複数の言語が公用語となっている。公用語となるということは、そのことば、例えばそれが英語なら、ありとあらゆる所で、英語が併用され、英語の文章でも公式な申請などができるということなのだ。例えば、日本で英語を第二公用語にするということは、公的な申請書は英文でも日本文でも受け付けられるということで、場合によっては両方のことばで申請書を作成しなければならないということになる。道路標識や公けの機関の名称などは、日英両語で表示をしなければならなくなるし、議会(中央・地方と問わず全ての議会)の議事録も、全部、日英両語で作成されなければならなくなり、全ての政府通達・公文書・法律も日英両語で書かれるようになるのである。

■私などはそういう公文書を読むことはあっても、作成する側の人間ではないから、日英両語で併記してあっても別に何の痛痒も感じないけれど、絶対に文章を作成する側の人間にはなりたくないと思う。日本語を英語に翻するような仕事は、よほど食えでもしていないかぎり、真平ごめんである。ひょっとすると、英語を公用語にすると、自然と役人になる者などいなくなって、公務員のリストラ策としては、最も効果的だというのだろうか?今、英語の公用語化を唱えている人たちは、実は、これを狙っているのかも知れない(?)

■昔も今も、英語の効用・重要性は、誰でも知っていることだから、今さら、英語を公用語にして公式に認める必要はない。ただ公式に公用語として認定するだけで、あとは何もしないということになると、これは百害あって一益なしで、大変なことになる。

■すべての公文書・議事録・法令・法律・道路標識・公約看板などを英語で併記しなければなくなるわけだから、その費用がいくらかかるかは想像もできないが、これらを英文化する人員の確保ができるかどうか、また英文化要員を確保できたとしても、翻訳ミスなどあったらそれこそ大問題となる可能性がある。

■特にアメリカなどは、これ幸いと、弁護士を大動員して、ちょっとしたことでも訴訟を起し、何千兆円でもぶったくることができるようになるのは目に見えている。英文の併用を怠ろうものなら、そのため米企業が商売不利になったと言って、いくらでも賠償金をふかっけられる。「さて森首相閣下、英語を公用語化して、英語併記を徹底し、アメリカなどにやられないようにする用意がありますかな?」と私が問うなら、元総理はどう答えたであろうか?

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