//我輩も猫である//
vol.017
談合と外資系企業の日本進出
■先日、センセイが日本語で文章らしき物を書きはじめたころの原稿を整理していて「談合」について書いた小文が出てきた。それをパラパラとめくったあとで、私の前にポイと投げてよこして、 "Read that and tell me what you think."と言う。猫に「読んでみろ」と言うのだから、全く変わった人である。私が日本語を読むことができるのが当たり前だと思っているらしいのだが、 これでも大分苦労して読めるようになったのだ。猫は、元来、語学の才に長けているのだが、読めるようになるには、それ相応の努力と時間を要するのである。 日本語の場合は漢字の読み方でも「音読み・訓読み」と幾通りもあるのだからそう簡単にはいかないのだ。 とはいっても日本語をやりはじめてから十数年もたつから、たいていのものなら読めるようにいるので、それを読みはじめた。次にその要旨を紹介することにする。
■公共事業でも土木・建設の分野では、工事等に関する入札には[談合」が行われるのは隠れもない事実で、官民を問わず、物品の購入でも談合によって契約が行われることが多いのは、日本人なら誰でも知っていることである。 談合による公共事業の落札が違法行為であることは明らかだが、米国や西欧の先進諸国と比べる、日本では競争入札が、本来のビディング(bidding)のルールで行われることは、皆無と言ってもいいだろう。 純粋な自由競争である入札(bidding)など、この国では不可能なのかもしれない。
■日本の社会では、元来、誰かが「一人勝ちすること」を好まないのである。大きな仕事があったら、できるだけ皆で分け合ってやろうとする。 大きい会社はそれなりのパイにありつき、小さい会社も小さいなりに分相応に仕事の分け前をもらう。 できるだけ公平にパイ全体を分け合おうとするのである。英語で言う「平等主義」(イガリテアリアニズム、"egalitarianism")の考え方が根底にあるから、日本では欧米(特にアングロサクソンの国のイギリス、アメリカ)のように貧富の差が激しくないのである。 学校教育においても、英才教育を否定して、成績が悪い者に照準を合わせて行っているぐらいで(もっともこういう教育方針は先の大戦に負けてから採られはじめたらしいのだが)、給料でもトップとボトムの差はせいぜい十倍、二十倍のレベルで、欧米のように会長や社長の給与がペイペイの者の三百倍などということはない国なのである。 税制にしても平等主義の思想に基づいているから、一人勝ち、勝者総取りなどは許されない国なのである。
■こういう社会で純粋な「競争入札」(コンペティティブ・ビディング、"competitive bidding")が本当に実施されたと仮定してみるどういうことになるか。 例えば、ずば抜けたある企業が、実力で(談合や贈賄などによる裏取引なしに)ある公共事業を落札したとする。 似たような他の公共事業もあっちこっちで落札し、他の企業はそのため指をくわえて見ていなければならなかったとする。 一社だけ仕事を独占して、他社には仕事が回っていかないようになるとどうなるか。 負けたところは、全員、仕事がなくなるわけだから、会社はやっていけなくなるので、人員整理をしたり、倒産したりすることになる。 アングロサクソンの資本主義の理論、自由市場の原理で行くと、勝ったほうの会社が負けた側から整理された人員を雇い入れて、仕事を請け負った側で働けばいいということになる。しかし日本ではそうはならないのである。
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