ライアーズ・ポーカーをやったり、しゃべったりのアフター・ファイヴの仲間たちだが、ジョーク無しの会話は成り立たない。前出のエド・サリバンなどはジョークの名手だから、いつも新種のジョークを仕入れてきては、みんなを笑わせる。
まったくうらやましい限りで、私などたまにトライしてもみんなをワッと笑わせることなど出来ない。だが一つだけ受けた(、、、)ジョークがある。私のオリジナル・ジョークである。
「私は元カミカゼパイロットである。四十二回も出撃した」(I am a former Kamikaze pilot. I flew 42 missions.)というごく短かいジョークで、これは誰にでも受けた。
日本の特攻隊、カミカゼ・パイロットのことは誰でも知っている。燃料は片道分しか積んでいない。出撃したら二度と帰って来ない。敵艦に体当りして海の藻屑と消える若き英雄である。ただし、海の藻屑と消えての話しである。四十二回も出撃したというと、いつも途中で引き返してきた臆病者ということになる。
サリバンなどはこのジョークが気に入り、私を人に紹介する時は、「こいつはスギという。日本から来ている。元カミカゼ・パイロットで、四十二回も出撃したほどの男だ」とやるものだから、みんな大笑い。これを聞いていた地方の新聞記者が、このジョークは面白いので、ぜひ使わせてくれというほどだった。
アメリカ人はパーティー好きである。何かにつけてパーティーをやる。オフィス・パーティー、祝祭日のパーティー、理由も何もないのに人を集めてやるパーティー。ニューヨークの住人はとにかくパーティー好きなのである。
まともなアパート(二LDK以上のアパート)に住んでいる連中は最低、年に一回はパーティーをやる。特に広告業界の人間はパーティー好きだった。安月給取りがやるパーティーは、お客が酒を持ち寄ってやる。ウイスキーのボトルを持参する奴もいれば、ビールを持ってくる連中もいる。狭いアパートに六十人も七十人も詰め込んで、台所や浴室にまで入り込み、酒を飲んで、ひたすらしゃべることに熱中する。満員電車を嫌う連中も、立錐(りつすい)の余地もないほど混み合ったパーティーは大好きなのである。
しかし、日本人がパーティーに招待されて一番困るのがジョークである。かなり英語が達者な人でも、ジョークとなると困ってしまう。一つや二つは語れても、それでおしまい。誰でも知っているジョークを語ろうものなら座はしらけてしまう。ジョークは新鮮でなければならない。おまけに語り口が上手でなければ、せっかくの面白い話もぶちこわしになるから、練習しておかなければならない。アメリカ人たちはジョークを覚えるために、大変な努力をする。
最近聞いたジョークでこういうのがある。
「おかまばかりで作っているバンドのことを何んと呼ぶか?」「バンド・エイズと呼ぶ」