昭和五十年夏、本社の要請で、ビジネスマン向けのマーケティング・ゼミナール、第四回マーケティング・マネジメント・プログラム(MMP)に参加することになった。ハーバード大学の経営大学院で行なわれる集中ゼミナールで、久し振りにアカデミックな雰囲気にひたることができた。
アカデミックな環境というものは大変いいもので、ある意味では麻薬のようなものである。大学院に長くいると、この麻薬にとりつかれ、次から次へと学位を取って行き、外界へ出ていくことができなくなる人も沢山いる。貧乏でもなんとか食えるし、居心地がよいからである。
MMPは六月十五日から七月三日まで、約三週間行なわれた。六月十五日は日曜日で、午後二時から五時までが受付時間。受け付けは、モーリス・ラウンジで行なわれ、五時からは開会の儀式(イントロダクトリーセシヨン)が催された。マーティン・マーシャル教授がこのプログラムの責任者で、教授による説明のあと、五時四十五分からモーリス・ラウンジでカクテル・パーティー、六時半からクレスギー・ホールで夕食、七時半ぐらいからさっそく明朝のクラス二つのために予習を始めた。久し振りの勉強で、十一時ごろまでケース・スタディー二つ分の合計六十ページを読む。
ハーバードへは決して遊びに行ったのではないということを証明するために、スケジュールを読者諸君に紹介することにしよう。会社で仕事をしているほうが、ずっと楽なスケジュールであるのがお分りいただけるだろう。
6時 起床
7時 朝食
8時 スタディー・グループ・ミーティング
9時 最初のクラス開始
10時15分 コーヒー・ブレーク
10時45分 次のクラス開始
12時 昼食
13時〜15時 午後のクラスの予習
15時 スタディー・グループ・ミーティング
17時30分 ソーシャル・アワー(皆んなで一杯やる時間)
18時15分 夕食
19時30分〜 明朝のクラス二つ分の予習