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・小学生のうちから英語下手を養成するらしい

■"Hey, Charlie, they're gonna do it again. Did you read the paper this morning? "「あいつら、またやるつもりだよ。チャーリー、新聞見たか?」とセンセイが言うので、"Who are they, and what are they going to do?" と私が言うと、"They, the 'monbusho' guys. The paper says that they're gonna train the existing elementary school teachers so that they can teach English to the kids." 「あいつらだよ、文部省の連中だ。今いる先生たちを再教育して、小学生に英語を教えさせるんだとよ」

■今朝の日経(8/24/00)に「平成十四年度から全面的に実施される『総合的な学習の時間』を活用して、小学三年生からの英語学習が可能となることから、文部省は23日、来年度から、小学校教員に対し英語指導のための研修を行うことに決めた」と報道された記事を見て、センセイが頭にきているのである。今年から品川区のいくつかの小学校で「ネイティブ・イングリシュ・スピーカー」(英語母国人)の教師を雇って英会話を教えはじめたとき、センセイが私に言うには「今は外人の先生を雇ったりしているが、そのうち、まともな発音も出来ない、英語もしゃべれない日本人、今いる先生たちに英語を教えさせるようになるぞ」と。ようするに、全国の小学校に大勢の英語母国語人を配属することなど財政的にできるわけがないから、英語を教える先生の大多数は、今いる先生の中から選んで、その人たちをちょっと訓練して教えさせるか、または中学校の教師を派遣して彼らに教えさせるのは目に見えているとセンセイは言うのだ。その結果、どうなるのか。今までは中学校から英語下手にしてきたのを、小学生のときから「英語下手、英語嫌い」を養成するのだと。

■私も全く同感で、生徒の能力の問題ではなく、先生の教える能力の問題なのである。日本の英語の教師の発音のひどさは、私が時々あっちこっちの学校に出かけてリサーチしただけでも明らかで、音ばかりではなく、抑揚(intonation,イントネーション)もフラット(flat)で、アメリカ人などはマシンガン(machine gun)のように「ダダダダ」としか聞こえないと言っている。またリズム(rhythm)もとてもひどくて、全く英語に聞こえない。だから、日本の英語の教師は、英語の「音声システム」(English sound system)をよく研究して、せめて発音だけでもある程度正しく出来るようにならないと、生徒は間違った音を教わることになる。特に小学生は耳が敏感だから、正しい発音だろうが間違った発音だろうが、ちゃんと覚えてしまう。先生の発音がおかしければ、生徒の発音もおかしくなる。

■"Charlie, these guys at 'monbusho' never learn it. They say they're gonna teach English conversation. They're gonna teach the kids how to communicate in English. But that's real bull-shit." 「文部省の奴らは何もわっかっちゃいない」と言う。生徒が英語でコミューニケーションができるように教えるなんて、そんなこと不可能だと。センセイは、はじめのうちは、ひょっとしたら、二万人ほどネイティブの先生を雇って、各小学校に派遣して、ガイジンの先生だけに教えさせるのかと思ったらしいが、諸般の情勢(財政的なことなど)を考慮すると、そんなことは不可能だと悟ったらしい。大勢のガイジン教師を募集しても、まず、どれくらいの応募があるかも疑問なのだと。ネイティブのガイジンなら誰でもよいというわけではない。少なくともある程度日本語がしゃべれて、英語を教えるノウハウ(know-how)を持っているプロの教師でなければならない。そういう条件を満たせられるガイジンが沢山いるとはとても考えらないと。せめて大学院で英語教授法(TESOLのような)を勉強したような者なら、一応、プロの語学教師と言えるが、たとえば、アメリカ人やイギリス人の大卒でも、英語がしゃべれるというだけではダメだとセンセイは言うのだ。私もその通りだと思う。

■学校と名のつくところで英語を教えるのは、成果という点から見ると、実り少ない行為だとセンセイは言う。まず、何をもって「成果」と呼ぶかである。学生に英語を教えて、彼らに何を期待するのか?また、どういう方法でその成果を評価するのか?小学生に教える英語は「文法ではない。英会話を教える」のだと文部省は言う。外国人と英語でコミュニケーションが出来るようにさせたいということらしい。要するに英語で話せるようにする(もちろん相手の話も聞き取れて)ということなのだろう。

■しかし、多くの人は、「話せるようになる」ということがどういうことなのか、知らないのだとセンセイが言う。まず、言葉(単語)をある程度知らないと、話せるようにはならない。ピストルを持っていても、弾が入っていないと、いくら引き金を引いても、ズドンと弾は出てこない。弾をかなり仕入れておかなければならないし、単語の並べ方も、現在形や三単現のSのつけ方、過去形・過去分詞形の作り方、冠詞の使い方等々など色々なルールも知らないと、しゃべれるようには、とてもならない。

■しゃべれるようになるだけだったら、単語のつづりを知らなくてもいいと言う人がいるかも知れないが、オットドッコイ、つづりを無視して音としてだけで言葉を勉強するのは難しい。テキストを使わず口頭だけで教えるのは大変なのだ。黒板も使えない。せいぜい絵や映像ぐらいしか使えない。だからテキストが必ず使われるようになる。先生とは、教科書がないと調子が狂う者である。テキストには必ず文字が書かれる。だから子供たちは少なくとも単語のスペリング(spelling)は覚えなければならなくなる。

■"You know ,Charlie, what they're gonna do? They may start teaching words verbally first, but they will find out that the kids got to learn how to spell them, too. So, they'll start teaching the spelling and writing. They will find that the teaching how to spell is easier than teaching how to speak English. On top of that they'll soon using 'katakana' to show how to pronounce these words. That's the end of it! Then, they'll start sounding exactly like everybody else, pronouncing English with the Japanese accent." はじめのうちは、耳で単語や文を覚えさせようとしていても、そのうち、つづりも教えないとまずいことに気付き、スペリング(書き方)を教えるようになり、次第に文字中心になっていく。しまいには、発音の仕方もカタカナで表記するようになると、万事休す。皆と同じ日本人訛りの発音になってしまうと、センセイは一人で息巻いている。「全く同感だ」と私も同意して、"If they let native speakers of English teach these kids, they may at least learn good pronunciation." ネイティブに教えさせれば、少なくとも発音だけはよくなると思うと言ったのだが、それも全ての学校でガイジンの先生に教えさせてのことだ。日本人の先生が、いくらテープ(CDでもMDでも)を使ってもダメで、思春期前の子供でも、かなり丁寧に発音を教えないと上手く行かないとセンセイは言う。発音のエキスパートのセンセイが言うのだから間違いない。にわかごしらえの英語の先生で上手く教えられると文部省の役人が思ったのだったら、"They ought to have their heads examined." である。奴らの頭をかち割って調べてみる必要がある。どんなミソが詰まっているのか分かったものではない。もっとも、英語を第二公用語にしようなんて言っている首相がいたくらいだから、日本人全体がおかしくなっているのかもしれない。