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・クジラを食べる日本人

"Charlie, do you eat whale meat? I used to do that when I was a kid. It wasn't bad at all. It's a good substitute for beef or pork"

■私にクジラの肉をたべるかとセンセイが聞くのだが、私はアメリカで育ったので、クジラの肉を食べたという経験はない。どうもアメリカではクジラの肉を食べるという習慣は今までなかったので、あまりピンとこないが、馬肉などはドッグフードになるから、クジラの肉もドッグフードやキャットフードの原料になったこともあるかも知れないが、アメリカのペットフードで、特にクジラの肉とラベルにかかれたものがあったとは聞いたこともないので、アメリカ人に奇異に聞こえるかも知れないと、センセイの問いに答えると、センセイは、牛肉や豚肉の代用として、子供の頃、クジラの肉を食べたと言う。日本が戦争に負けて、まだあまり時間のたっていない五十年代の頃だから、クジラの肉(当時は格安だったそうで)でも「肉のうち」ということだったのだろうか、けっこうおいしかったと言う。お母さんがステーキやカツにしてくれたのだそうだ。高価でめったに食べさせてもらえない牛肉のかわりになったので、五十年代・六十年代は学校給食の花形だったのだと言う。

■アメリカではアラスカの原住民が食べるぐらいで、今でも彼らに対して、米国政府は「ホッキョク鯨の捕獲(年間六十頭)を認めている」と水産ジャーナリストの梅崎義人(うめざきよしと)氏が「諸君」の二〇〇〇年十一月号で述べている。クジラの漁獲がほとんど世界的に禁止されてからかなりの年月がたつが、特にアメリカやイギリスでは、日本人にクジラを獲らせないようにしようという動きが盛んで、日本に対して調査捕鯨もさせないようにしようアメリカ政府は圧力をかけてきている。日本人はクジラを食べたいが故に、調査という名目で捕鯨を継続しているのだと。どうもクジラを食べるのはよくないと言っているらしい。クジラを食べるのは、日本の他には、エスキモーだとか、アイスランドの人たちのように多くはないのだが、「クジラを食べるな」と言う人たちの本音がどこにあるのか、今一つ分からないのだとセンセイは言うのである。

■九月十三日に「アメリカの二百カイリの経清水域での漁獲(普通の魚の捕獲のこと)を禁じる制裁設置」を米クリントン政権が発動したのだが、これは日本が調査捕鯨の対象としてマッコウ鯨とニタリ鯨の二種類を加えたことに対する制裁なのである。

■日本はIWC(国際捕鯨委員会)が推定する北西太平洋のマッコウ鯨十万二千十三頭のうち十頭、ニタリ鯨二万一千九百一頭のうち五十頭以内を獲る計画なのだという。梅崎氏によると、今年商務長官になった日系二世のミネタ商務長官が八月二十七日付けのワシントン・ポスト紙で「@調査は鯨を殺さなくても達成できる、A調査で獲る鯨肉が市場に流れレストランのメニューに登場するのはおかしい、B日本に対する貿易制裁を大統領に求めることを決定しなくてはならない」と指摘していると言っているが、梅崎氏は国際捕鯨取締条約八条に「締約国は、自国民が科学研究所のためにクジラを捕獲し処理することを認可することができる。捕獲したクジラは実行可能な限り(製品として)加工しなければならない」とあるので、獲ったクジラを調査したあとはできるだけ食料として利用しなければならないのだと指摘しているのである。

■米国政府が、二〇〇〇年の九月、十月という時期にクジラの調査捕獲(リサーチ・ホエイリング)(research whaling)を問題にして、日本に制裁処置を取ったりするのは、十月七日の大統領選挙に際して、環境保護グループがゴア副大統領を応援しているのに追い風を吹かそうという意図が見え見えだとセンセイは言うのだが、多分、その通りなのであろう。アメリカという所は、国内の政治的な目論見が最重要視される国なのである。普通では、十何万頭いると言われるマッコウ鯨(ブライズホエイル)、ニタリ鯨(スパーム・ホエイル)(Bryde's and sperm whales)の六十頭を調査のため殺すぐらいで、制裁処置発動まではやらないのである。この国際捕鯨取締条約の締約国政府は科学的調査の目的でクジラを取ってもよいことになっていて、日本の外にアイスランド、ノルウェー、韓国もR・Wをやったことがあり、日本は南氷洋ではミンク鯨を百頭以内保護してきたのだと梅崎氏は言う。クジラの頭数やそのデモグラフィー(年齢・雄雌などの情報)を調べていて、例えば、「南氷洋でのクジラのエサは、九十九%がオキアミ」だが「北西太平洋ではオキアミ以外にイワシ・サンマ・イカ・サバ・スケソウダラ・サケ」などを食べていることが過去の調査で分かったと梅崎氏が言っていて、日本の漁業にも大きな影響を与えているらしいのである。

■日本の年間漁獲量は六百六十万トン(九九年)だが、「大型のマッコウ鯨一種類だけで、日本の漁獲量の五倍以上のサカナをエサとして食べているから驚く」と梅崎氏も言っている。日本鯨類研究所の分析によると、世界の漁獲量年間約一億トンと比較して、その四倍の四億トンのサカナをクジラ全体で食べているのだというからものすごい量なのである。だから、あまり頭数が増え過ぎないように、間引かなければならないのだとセンセイも言うのだ。

■R・W(調査捕鯨)にはお金がかかる。一回の調査に約四ヶ月ぐらいかかるそうだが、費用が十七億円もかかるのだそうで、副産物の肉・皮・内臓などを売っても十二億ぐらいにしかならないから、五億円は赤字になり、この赤字分は政府持ちということになるのだそうだ。日本とちがってクジラの肉を食べない国では、調査といっても政府が全額負担しなければならないから、おいそれと調査できないのである。

■一九九〇年のIWCの科学委員会の結論では、南氷洋ミンク鯨の資源量は七十六万頭以上あると推定され、年間二千頭を捕獲する限り、南氷洋ミンク鯨は満限状態になるまで増え続けると梅崎氏は言うのである。

"What's wrong with eating whale meat? The Americans and Brits may not eat the whale meat but that doesn't mean other people should not eat it. The Muslims don't eat pork but the Americans do. The Americans on the other hand, eat beef but the Hindus don't."

■クジラの肉を食べてどこが悪いのかということなのだセンセイが言う。イスラム教徒はブタ肉(ポーク)は食べないがアメリカ人やイギリス人はブタを食べるし、アメリカ人は牛肉(ビーフ)を沢山食べるが、ヒンズー教徒は牛を食べない。インド人(ヒンズー教徒の)は牛肉を食べないから、アメリカ人も食べてはいけないと言われたら、牛肉を食べるのを止めるのかということだとセンセイが言う。何を食べるかは(又、何を食べてはいけないのか)は、文化や宗教によって違うのであって、人肉(チャイナなどは黄文雄氏に言わせると、何千年も食べてきた歴史がある)以外なら、大抵、何を食べてもいいと思うのだが、欧米人は、犬・猫・馬を食用にすることを極端に嫌う。もっとも、猫だけは絶対に「食べないでほしい」と私は主張するのだが。